人生100年時代と呼ばれるようになりました。長生きする人口が増え、認知症になる人も増えてきています。2025年には5人に1人が認知症になるという計算です。
もしも自分の大事な家族が認知症になったなら、分からないことがあったり、悩んだり不安になったりしませんか。
ここでは認知症介護に対する悩みや不安を軽減し、少しでも前向きに楽しく日々を送っていくことができるよう、基礎知識や対応の仕方などを解説します。
認知症とは?認知症の基礎知識
認知症とは
- 加齢に伴う脳の病気の一種
- 脳細胞が死滅し、機能低下する
- 記憶力や判断力に障害が起きる
- 体験自体を忘れる
- 忘れたことに自覚がない
- 日常生活や社会生活に支障が出る
このような症状があり、加齢に伴う物忘れと混同されがちですが違うものです。
加齢に伴う病気の中でも今後人数が増えてくると予測されているので、もしもに備えて認知症についての正しい知識を得ておきましょう。
認知症の種類
認知症には様々な種類があります。原因がはっきりしていない為、進行を止めることは難しいのですが、認知症の特徴を知って対応をすることで、進行を緩やかにすることが可能です。
それぞれの認知症にはどのような特徴があるのか、どのような状態があるのかを知って早期発見に備えましょう。
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
- 若年性認知症
5つの主な認知症について解説します。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症の中でもっとも割合が多く、全体の70%です。
食事をしたことを忘れるなど「行動そのものを忘れてしまう」ことから始まり、近い時期の記憶から少しずつなくなり、進行すると日常生活が1人では送れない状態になります。
脳血管性認知症
脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症の次に多く、脳梗塞や脳出血の後遺症によって発症します。
この認知症の場合は障害を起こした脳の部位によって症状が異なり、歩くことが不自由になったり、言葉が出てこない、意欲が落ちる、感情が不安定になるなどの状態になります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、脳に特殊なたんぱく質が溜まり、認知症をきたすと考えられていますがはっきりとした原因はわかっていません。
主な症状として歩行障害の為、転倒しやすくなったり、記憶力や判断力などの認知機能が日々変わっていくことが特徴です。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、前頭葉や側頭葉が委縮し、50代~60代に発症しやすい認知症です。
性格が変わったり、軽犯罪など反社会的な行動をとったり、状況に関係なく同じ行動を繰り返したりすることもあり、発症していることがきづかれにくいこともあります。
若年性認知症
若年性認知症は上記の認知症を65歳以下で発症した場合です。発症年齢が若い為、就労や経済的な負担、育児などの問題があり、パートナーや家族の負担が大きい場合もありえます。
認知症になるとどんな症状が出るのか?
認知症を発症すると理解する力や判断すること、覚えておくことなどが難しくなります。
その為、発症する前にはなかった行動や言動なども出てくるでしょう。
家族が対応する時に困ってしまうことも多くある為、悩んでいる人もいるのではないでしょうか?
ここでは認知症によって引き起こされる症状についてまとめています。
中核症状と周辺症状の違い
認知症には【中核症状】と【周辺症状】が存在します。これは目に見えて家族が困った、と思うような行動が周辺症状と呼ばれています。
主な周辺症状
- 徘徊
- 暴力
- 不眠
- 妄想
- 昼夜逆転
- うつ
このように様々な周辺症状があり、それによって周囲は困ってしまうことが多くあります。ですが実際にそれを引き起こしているのは中核症状です。
中核症状
- 記憶障害(覚えていないのでわからない)
- 見当識障害(季節や時間がわからない)
- 失語(言葉がわからない)
- 失行(決まった動きができない)
- 失認(それが何かわからない)
- 実行機能障害(料理などの手順がわからない)
中核症状が原因となって混乱を招き、周辺症状が引き起こされます。
生活の中のちょっとした工夫、介護者の手助けなどで改善されることも有り得ますので、周辺症状で困っている場合はその人に何が起きているのか、何を思っているのか、理解してみることで解決の糸口が出てくるのではないでしょうか。
認知症かな?と思ったらまずはどうすればいいのか?
家族の認知症は気づきにくいものです。でももしかしたら、最近ちょっと、というところで気づくことがあるかもしれません。
そんな時はまずかかりつけ医へ相談してみてください。他にも物忘れ外来への相談、受診もできます。
市町村には認知症に関する相談窓口や地域包括支援センターも設置されていて、相談することが可能です。
電話相談や受付相談など方法はさまざまですので、相談したいと思っている方の相談しやすい形で相談していきましょう。
また本人の意志もありますので体調不良の有無や困っていることはないか、など丁寧に尋ねていくことで今後の対応もスムーズになります。
認知症の予防はできないのか
高齢化の進んだ現代で、認知症に絶対にならない、ということは難しいかもしれません。しかし、認知症になることを遅らせたり、進行を緩やかにさせることは可能です。
たとえば生活環境を整え、バランスのよい食事を摂ったり、定期的な運動習慣を身に付けたり、と普段の生活管理やちょっとした心がけで認知症のリスクを軽減していきましょう。
また早期発見、早期治療も大事になります。日頃からかかりつけ医に相談したり、ちょっとした体調の変化なども相談しておくと、いざという時に慌てることがなくなります。
認知症になってしまった!どう対応したらいい?
まずは、かかりつけ医に相談しましょう。
かかりつけ医が認知症の専門ではない場合もありますので、今後の診療についてどうしていくか決めておくと、いざと言う時に対応がスムーズにできます。
また、介護保険申請をしていない場合は地域包括支援センターに相談しましょう。
介護サービスを受ける為には介護認定を受ける必要性があります。デイサービスやヘルパーを頼みたい時に必要な認定でとても重要なので、しっかり地域包括支援センターに相談してください。
認知症介護の心得10選
認知症という病気になってしまった時、多くの変化に本人や周囲は混乱することが多くなるでしょう。
どうしたらいいのか分からない、こんなこと恥ずかしくて誰にも言えない、そんな不安を抱え、悩んでいる人は多くいます。
ですがこれからの日本では認知症の人が多くなり、いつか誰でも認知症になる可能性があり、その日の為に、できることや学べることを知っておきましょう。
認知症の人とその周囲の人たちが自分らしく生活していけるよう心得10選をご紹介します。
- 本人のペースに合わせる
- 失敗や間違いを指摘して責めない
- わかりやすく、簡単な説明で伝える
- スキンシップや挨拶をする
- 急激な環境の変化をしない
- ひとりで悩まず相談する
- 介護サービスを使ってみる
- 周囲と比べない
- 正しい認知症の知識を身につける
- 今できることを大切にする
病名は同じでも認知症の人はそれぞれです。その人らしさは病気になっても残っていると言われているので、その人らしさを大事にできる対応を心がけましょう。
また一緒に居る家族や周囲の人も、1人で悩まず、同じ立場の人に話をするなどして気持ちを楽にすることで認知症の人にも穏やかに接することができます。
認知症は誰でもなる病気だからこそ
認知症の基礎知識や対応の仕方などを知ることで、もしも自分の大事な家族が認知症になって分からないこと、悩んだり不安になったりするかも知れないと思っていた人でも、不安の軽減に繋がったのではないでしょうか。
これからの日本では認知症になる人の数が増えていく予想です。
自分の大切な家族が認知症になる可能性も高くなっていくことでしょう。
心配な気持ちも大きいかもしれませんが、これからは誰でもなる病気だからこそ、知識や対応の仕方を知っていくことで、その人らしい生活を維持していくことができるようになります。
その人らしく、前向きに楽しく日々を送っていきましょう。
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